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6/20〆のパブリックコメント。「遺伝子組み換え酵素」が豚・鶏のエサに。外界で繁殖の恐れも。

さて、今回はパブリックコメントについて。

豚・鶏のエサに、遺伝子組み換えした麹菌由来酵素を入れようというものです。

薬剤耐性の遺伝子を使い、外界で繁殖する恐れのある菌。しかも、毒性タンパク質を作る可能性まである。

今回は、案件の概要と私の疑問点についてまとめました。

▶概要

資料・提出窓口

内容を詳述した資料(9ページ)の閲覧と、意見の提出はこちらから。

search.e-gov.go.jp

 

案件の概要

案件の内容を簡単にまとめると、こうです。

  • エサに含まれるフィチン酸が、栄養(リン)の吸収を阻害する
  • だから、フィチン酸を分解する酵素「フィターゼ」をエサに添加したい
  • そして、フィターゼをもっと効率よく生産したい
  • だから、麹菌に別の細菌の遺伝子を組み込んで大量生産できるようにした
  • 過去に同様の組み換え酵素は3件承認されており、うち2件が今回のものと同等だった*1
  • 毒性検査でも安全性が確認された
  • だから承認しても問題ない

しかし、資料を読んでいくと、疑問に思う点が多数。そこで、こういった箇所を挙げてみたいと思います。

なお、今回の申請者ノボザイムズ社は、産業用酵素のメーカー。あの遺伝子組み換え企業モンサント(現在はバイエル)と提携している会社でもあります。

 

▶疑問点

資料ではページの左端に「行数」が書いてあるので、以下それに従って書きます。
行数は「l.エル○○」で示し、それぞれ本文中の記述(要約、青字)と私の疑問を挙げています。

  • l.130前後 「抗生物質への耐性遺伝子を組み込んでいる」
    →これは「マーカー遺伝子*2」のことでは?マーカー遺伝子は薬剤耐性菌の原因となることが知られている。「最終的に耐性遺伝子は脱落するから安全」とあるが、本当か?

  • l.145前後 「組み込む遺伝子以外にも、複数の改変遺伝子を入れている」
    →予期せぬ物質が生成される危険性が高まるのでは?
  • l.185前後 「"既知の”病原性・感染性リスクはない」
    未知の毒性については検知できないのでは?
    実際、アメリカで死者を出した「L-トリプトファン事件」の際、未知の毒性物質がかなり後になって発見された(下記記事参照)。 

    katiefue-happy-housewife-life.hatenadiary.jp

  • l.170前後 「麹菌にはガンマ線を照射している」
    ガンマ線照射は突然変異の原因となることが知られている。
    そのため、意図した以外の変異が発生する可能性が高まる。
  • l.215前後 「挿入した遺伝子の付近から、既知の毒性タンパク質の元となる配列が8件あった」
    →「発現の可能性は低い」「発現しても毒性を示す可能性は考えにくい」と言い切れる根拠は何なのか?
  • 「l.235前後 麹菌は自然界に広く生息・増殖。組み換え麹菌も、もともとの菌も32−36℃で増殖しやすい。最高42℃まで生き延びる」
    →つまり、一旦外界に出たら、夏場なら容易に繁殖できるということ。
    仮に毒性が発現した場合のリスク管理はどうなるのか?
  • l.270前後 「反復毒性試験を「短期」で実施したが、問題はなかった」
    →試験結果の資料が非公表なため、内容不明。
     それに、エサであれば長期的に摂取するはず。長期試験が必要なのでは?
  • 全体を通して 
    「参考資料」はなぜ全て「社外秘」なのか?
    本文中では20箇所以上も参照が示されており、それだけ重要な内容ということ。公表しないのは理解に苦しむ。
    特に毒性試験の内容は、消費者にとっての関心事項。公開を求めたい。
 
▶用語について
なお、資料を読み込みたい方へ、参考リンクをご紹介します。
専門資料には分かりづらい用語が多いですが、ネットでの情報収集である程度イメージはつかめます。
 

▶最後に 

私が特に引っかかるのは、組み換え菌が外界で繁殖できる可能性については認めつつ、詳述を避けていること。
交渉スキルに絡めて言うと、当事者(=今回は政府)にとって致命的な事柄には触れず、それ以外を大々的にアピールすることで受け手(=私達)の関心を逸らしている*3のでは?とも思えるのです。
遺伝子組み換え技術により、そのエサを食べた豚・鶏が毒性タンパク質に汚染され、間接的に私達がダメージを受けるのは困る。でも、それと同じくらい、組み換え菌が外界で繁殖し、食中毒などの病気という形で直接的に被害を受けるのも問題なのです。
政府には、こういった事柄について検討し、毒性試験を始めとする資料を公開していただきたい。私はこのように考えています。

*1:過去に3件も承認されているとは、知りませんでした。 遺伝子組み換え物質を、このように間接的に摂取していること。一体、どれだけの方がご存知なんでしょうか?

*2:もし実際にマーカー遺伝子ならば、抗生物質の中で培養した後も生き残るはずです。『遺伝子組み換えのねじ曲げられた真実』では、これによって人間の体内にも抗生物質耐性の遺伝子が水平伝播(=移行)する可能性があり、さらには薬剤耐性菌の出現リスクとなることが指摘されています。(p.440)そのため、外界でこの菌株が増殖すれば、いま問題になっている薬剤耐性菌をさらに増やすことになるのでは?との懸念が生じます。

遺伝子組み換えのねじ曲げられた真実 (私たちはどのように騙されてきたのか?)

遺伝子組み換えのねじ曲げられた真実 (私たちはどのように騙されてきたのか?)

 

 

*3:これを、専門用語では「ショッピングリスト戦術」と言います。