「捨てたくない」の気持ちに正直になった結果…
子どもが寝たあとにちくちくちく…
私の趣味は
この夏は、小さなハギレを活かすことにこだわりました。
そんな中でできたバッグインバッグの話です。
古いハギレと不要な服で
スケジュール帳と文庫本が入るサイズ。
ウラ・表の2枚仕立てで、表はすべて古いハギレや不要になった服を解体した布でできています。
布作家 早川ユミさんの本(後述)を参考にした、誰でも簡単に作れるシンプルな構造ですが、作成には何日もかかりました。
欠片のような小さなハギレを、何枚も縫い合わせたからです。
「捨てるしかない」?
服を作るのは楽しいですが、困るのは大量のハギレが出てしまうことです。
それも幅1~2センチのリボン状だったり、半月型だったり、細長~い三角形だったり…
一見すると「捨てるしかない」と思うばかりです。
ただ、昨年祖母の遺品としてたくさんの古布を引き取ってからは、たとえどんなに小さい欠片でも「なんとか活かしたい」と思うようになりました。
1枚の布の背後に
布についた手書きのタグ、プリント生地の模様の微妙なズレ——。
それらを眺めていると、何十年も前に交わされた祖母と手芸屋さんとのやりとりや、布作りに携わった職人たち、コットン農場の様子、さらには現地の当時の社会背景にまで想像の触手が伸びてしまうからです。
そして、親指の先ほどの大きさしかない布を並べては「一体どう使えば…」と悩むばかりでした。
「効率的」ではなくても
ここまで考えてしまうのは、もはや職業病かもしれません。
「効率化」を徹底的に追い求める風潮とも逆行しています。
ただ、もはや目の前のものを「モノ」ではなく、「そのモノが辿ってきたストーリー」(食品にせよ日用品にせよ)として捉える癖がついた人間としては、仮に「捨てたほうが早い」と言われても直ちにそうだね、とは言えないのです。
パッチワークというヒント
そんな時、たまたま手に取った早川ユミさんの本がヒントになりました。
早川さんは、ハギレをテープ状に縫い合わせてストックするなど、余り布の活用法を提案されています。
「これだ!」と思い、形もサイズも年代もバラバラな、とんでもなく縫いにくい欠片をパッチワークすることにしたのです。
それで生まれたのが、今回のバッグインバッグでした。
小さな欠片は、接ぎ合わせて大きくすればいい。
三角形ならば、2枚合わせて四角にすればいい——。
そんな試行錯誤を楽しめたのも、今回の収穫でした。
いまはと言うと、「もう紙吹雪にするしかない」と思うような、さらに小さなキレの使い方に悩み中。
いったい何ができるかな?
冒険はまだまだ続きそうです。
(写真・文:鈴木かや)